学習障害を持つ患者に対し、看護師ができるケアはさまざまです。具体例として、学習障害を抱える小児に対して、看護師が本人と家族に対して支援を行ったケースがあります。小学校に入学して、文字が読めないことに気が付いた小児とその保護者が小児科を受診したことで、学習障害が発覚しました。この小児は、知的には問題ありませんでしたが、文字がばらばらに見えるという識字障害を持っていました。学校で行われる国語のテストで良い点を取るのが難しく、本人も苦手意識や劣等感を抱えています。家族は、漢字の練習や教科書の音読を続けさせるといった対応をとっていましたが、なかなか成果が見えずにどうすれば良いのかわからない状況でした。
このようなケースに対して、看護師は本人と家族それぞれをサポートします。本人に対しては、自分の苦手なことと得意なことを理解してもらいます。得意なことをのばしていくことで本人が自信を持っていけるようにケアします。家族に対しては、まずは学習障害に対する正しい知識を指導します。学習障害は、教育で治癒するものではないため、無理に国語の勉強をさせることは逆効果であることを伝えます。家族のショックが大きい場合は、気持ちに寄り添う心理ケアを施します。
当事者が小児の場合は、家族の支援が非常に大きいです。学習障害児が毎日を楽しく生きるためには大人が環境を整える必要があるからです。例えば、読むことが苦手な子供の場合は、情報の伝達手段はなるべく音声にしたり、絵や図にして伝えたりするということが効果的です。このようなサポートをすることで、本人と家族が学習障害を受け入れて生きていくことを支援します。