学習障害は、決して珍しい症状ではありません。学習障害を抱えている人、あるいはその傾向がある人は、成人の10人に1人はいるとされています。学習障害についての知識を深め、付き合い方をしっかりと学ぶことが重要です。学習障害とは、知的障害はありませんが、読む、書く、話す、聞く、計算する、推論するといった能力のうち、いずれかの能力の習得が著しく難しく、使用も困難である症状のことをいいます。脳に何らかの原因があると考えられていますが、特定の原因や治療方法は発見されていません。学習障害の人は、これらの症状を持つことから、コミュニケーションに支障をきたすこともあります。学習障害の患者が医療施設に訪れた場合は、看護師として適切な対応をすることが必要です。

おおよその場合は、ほかの患者の対応と大きな差はありませんが、威圧的な態度をとることをしてはいけません。また、一度に多くの情報を処理することができないので、ひとつひとつの症状や処置などをその都度丁寧に説明するという対応が必要となるでしょう。場合によっては図や絵などを用いると伝わりやすいです。学習障害の人は、決して健常者と同じ仕事をすることができないというわけではないので、同僚の看護師として働く可能性もあります。学習障害を持つ人は、興味のある分野をとことん突き詰めるスペシャリストタイプになる可能性があるのです。看護師として高い能力を持つ人材になる側面があるといえるでしょう。

しかし、一方で人の情緒を深くとらえないといったこと、複数のことを同時にできないという側面もあります。そのため、共に働く際には、マニュアルに沿った仕事を割り振るほか、必要タスクをわかりやすく提示するといった工夫が必要です。